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2014年3月25日更新

近年さまざまな役どころに挑戦し、演技派の名を欲しいままにしている柳楽優弥が、名匠、宮本亜門演出の「金閣寺」で2度目の舞台出演を果たす。“不器用なほどの真っすぐさと繊細さ”を武器に、舞台の上で難役をどう生きて、観る者の心を動かすのか。彼の俳優としてのさらなる飛躍に期待したい。

初舞台から2年。それからいろんな役を演じたので、作り上げてきたものはしっかりと生かしたいです

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── 柳楽にとって、2012年の『海辺のカフカ』以来、2作目の舞台出演作となる。初舞台は、蜷川幸雄の演出。そして今回は、宮本亜門と、演劇好きにはマストといえるトップクリエイターたちとの仕事が続いている。

「亜門さんからオファーをいただいた時、ただただ嬉しかったです。演出が宮本亜門さんで、原作が三島由紀夫さん。これをやらなかったら一生後悔すると思いました。前作も演出が蜷川幸雄さんで、原作が村上春樹さんというすごい方々で、自分はラッキーだなと思います」

── 映像の世界では出演作を重ねているが、舞台は2本目。柳楽にとって、舞台とはどんな場所なのだろう。

「初舞台の『海辺のカフカ』の前からずっと舞台はやりたいと思っていたんですけど、やっぱり怖さのほうが勝ってて。『カフカ』のときは初めてだから余計な不安ばかりで、『ああ、怖いなあ』と思いながらずっと緊張していて、無事に終わって良かったです(笑)。そういえばあの時、先輩に緊張をほぐすのにお客さんを人間じゃなくて大根だと思うといいよって言われたんです。だからそうしてみたら、逆に面白くなってしまって。 『なんで大根に観られてるんだよ、集中できねぇ!』って(笑)。でもあれから2年経って、自分もいろんな現場を経験し、たくさんの役を演じてきました。怖がっているだけじゃなくて、作り上げてきたものはしっかりと生かしたいと思っています。『金閣寺』は、『カフカ』とはまったく違ったテンションで臨めると思います」

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── 演じるのは、貧しい寺の息子で、生まれつきの吃音(きつおん)のため周囲とうまくコミュニケーションが取れない男、溝口。彼は自分の中の“錆びついてしまった内界と外界との間の扉の鍵”を開け放つため、この世で最も美しい金閣寺に火を放つ決意をする……。この溝口役に共感し、それだけに考え込んでしまう、と苦笑する柳楽。

「大きな変化が生まれるのは稽古場でだと思いますが、こういう溝口でありたいという思いは強く持っていたいです。溝口は、とても繊細でぶれやすい人間。周りに流されやすいんですよね。そして、自分の世界の中だけで生きています。僕もぶれやすいところがあるので、共感しました。『僕の内界と外界との間の扉に鍵があり、うまく開いたためしがない。それどころか、その鍵は、錆びついてしまっているのだ』という一節に現れる、溝口の心の変化を精一杯演じていきたいです。僕は人に真面目すぎるって言われること多くて、役について考えすぎてしまうところがあるんですけど、今回、溝口に共感しているせいか、その傾向が強くなっています。考えすぎるのは良くないと思うので、気をつけたいです(笑)。溝口が鶴川と一緒に映画館に行く時のやりとりなど面白いところもある役なので、楽観的なところも残しておきたいです」

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── 役作りとして、自らリサーチした京都の寺に修行に赴くなど、準備は万端だ。

「寺の坊主の役なので、役づくりのために、京都の宝泉寺に修行に行きました。3泊4日で、座禅をしたり、太極拳をしたりして。お寺の中はぴんと張りつめた空気で、すごく緊張しました。その一方、溝口も同じことをしたんだと思うとワクワクもして。同じ日に入山した方がもう一人いて、仲良くなったんです。溝口と柏木もこうだったのかな、と大きなヒントをもらった気がしました。お寺での修行は本当に行って良かったです。いい経験になりました。その後舞鶴にも行って、溝口の母校や、溝口が生まれたところに行ったりして。舞鶴はとても不思議な空気感の場所で、東京にいたら味わえない空気感を感じることが出来て良かったです」

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── 舞台と同じ4月には映画『クローズ EXPLODE』も公開。この作品では、筋肉をつけ、ケンカの強い不良を、鋭い眼光と圧倒的な存在感で演じている。

「強羅という役どころの強さもあって、自分は絶対折れないという気持ちで現場にいた作品です。現場も不良漫画の作品だったからか、冷たい空気感だったんですけど、テンションが上がる冷たさでした。ケンカのシーンは、相手役の人に当たってもいいという勢いで、本気の現場でしたね。この作品でよく覚えているのが、喫茶店で煙草を握るシーンです。リハーサルのとき、テーブルに落ちた煙草の灰をマッチの箱で拾ってきれいにしていたんですけど、豊田監督が『強羅さ、ここでなんかしたいよね』っておっしゃって(笑)。『煙草とか握りたくない』って。僕も面白いと思ってやったんですけど、火傷しました(笑)。ワンカットでしっかり握っているところが映っていたので良かったです」

── 2014年も、映画、舞台に活躍が楽しみな柳楽優弥。彼自身、今とても演じることが楽しいという。

「努力しているから楽しいんだと思います。最近の出演作で言うと、『許されざる者』も『クローズEXPLODE』もやっている最中は大変だし辛いこともあるんです。でも終わった後、やっていて良かったと心の底から思います。舞台は、映像と違って、1日1日達成感があると思います。舞台に立つのは怖いけど、お客さんとの連帯感が味わえると思うと楽しみです。体力とメンタルが大事だと思うので、自分を鍛えていきたいです」

Writing:杉嶋未来


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INFORMATION

STAGE

『金閣寺 The Temple of the Golden Pavilion』

2014年4月5日 (土) ~2014年4月19日 (土)赤坂ACTシアターにて

原作:三島由紀夫/演出:宮本亜門/原作翻案:セルジュ・ラモット/脚本:伊藤ちひろ、宮本亜門

2011年、ニューヨーカーの魂をも揺さぶった舞台「金閣寺」が2014年4月、再演決定!!
カンヌ国際映画祭最優秀男優賞の柳楽優弥が日本文学の金字塔・三島由紀夫に挑む!

生来の吃音から疎外感に悩まされ育った主人公・溝口、下肢に障害を抱えながらも不敵に溝口を挑発する柏木、そして溝口の寺の同朋・鶴川。それぞれの若者の苦悩を見事に描きだすとともに、現代の若者にも通じる閉塞感を見事に造形したこの作品は、映像、身体、声で三島文学を多層的に描き、ニューヨーク公演の劇評ではその演出を高く評価された。


▼公式サイト

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(C)パルコ

MOVIE

『クローズEXPLODE』

4月12日(土)より全国東宝系にてロードショー

高橋ヒロシのコミックを映画化した『クローズ』シリーズの新章。前作から1か月後の新学期を迎えた鈴蘭高校を舞台に、3年生の卒業により空席となった頂点を目指す壮絶な抗争が他校も巻き込み繰り広げられる。監督は、『青い春』『空中庭園』などの豊田利晃。


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(C) 2014高橋ヒロシ /「クローズEXPLODE」製作委員会

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